2014年2月8日土曜日。
日付が変わり、終電車が出た後も、
前日から降り始めた雪は止むことはなかった。
悪天候の中、阪急淡路駅東側、
照明に浮かび上がった線路上に
300人を超す作業員が集結していた。
久しぶりの大掛かりな工事だ。 そんな声も聞かれた。
京都線と千里線が交わる要所、
淡路駅の高架化に伴う仮線への切り替え工事が始まった。
高架工事のために撤去される旧線を切断し、
既に敷かれている仮線に接続する。
タイムリミットは始発までの5時間足らず。
雪の影響はないのか。
「よいさっよいさっよいさっ」
野太い声が地を這うように響く。
バールを手にした作業員たちが切断した線路を
力技で仮線へ寄せていくのだ。
降り続く雪の中で、その様子はまるで祭りの神事のように見えた。
工事区域の東端に小さな鉄橋があった。
線路とともに、この鉄橋も移動させなければならない。
これが、今回の工事のボトルネックだ。
すべてのタイムスケジュールは、
この作業をもとに組み立てられた。
さまざまな作業が同時並行して進められる。
自分の持ち場が遅れるわけにはいかない。
一人ひとりがプロの仕事をする。
まくらぎの下に砕石を入れ始めると、もう仕上げ作業だ。
重機と人の手が、現場の様子を少しずつ整えていく。
鉄橋の移設も無事に終わった。
線路は仮線につながれ、
高架化が完成するまでその役目を果たす。
あちこちで笑顔が見られるようになった。
やがて梅田行きの始発電車が
何事もなかったかのように通過した。
その日、大阪は一面真っ白な雪で覆われた。